『思想の落し穴』Tさん

Tさんは頭がよいと改めて思った。
たる詰の思想というのが、面白い。
日本の思想について、家や流派ではなく、たると考えている。
家、流派、ではないのだ。
家、流派をひっくるめたたる、なのであるということだろう。
たる、である。
その中に五色の酒としてあるのが日本の現代の思想ということらしい。
たるというと、たるは密閉されれば何も見えなくなる。
日本というのはたるに似ているのだ。
ところで、つぼは陶器だが、たるは大体木製なのだ。木製ならば日本的であるはずだ。
ところが、古代日本においてはそうでもなさそうである。
たる、というのが古代日本ではそれほど使われていない気がする。
今わたしは『源氏物語』を精読しているが、たるをはじめとした器、というところだけに注目してみても面白いかもしれぬ。