淫臭を越えて

ぼくはぼくのもそうだし
人のもそうだが
淫臭にがまんならない
精液やいわゆる愛液が
なぜあんなに臭いのか
汚物であるからではないのか
汚濁の中で蓮の花が咲くというのが
アカンボなのだろうか
それはそれで美談だが
そのアカンボーに
たっぷりとした金と
磐石なレールを敷けない以上
欲しいとも思わぬ
だいいちアカンボーがかわいそうである
しかし
わたしくらいに
アカンボーに遠慮する独身のひんそげな男が
世にどれだけいるだろう
おそらく勝ち組は思ったよりもすくなく
負け組は思ったよりもかなり多い
というのも
勝ち組はより少なくなるベクトルを帯びるし
負け組は繁茂するようにできているからである