不謹慎

不謹慎ということばがわからない。
謹慎というのは具体的行為である。
形容詞ではない。
目立たないところにじっとしているという昔の刑罰である。
不謹慎というのは、文字通り受け取れば、刑罰を受けずに自由にいるということのはずだ。
おおかたにおいて不謹慎といわれるのは、厳粛にしておかなければならない場面でおちゃらけたことを言ったりするときだ。
不厳粛や不静粛でもいいように思う。
このことには、不敬ということと何か関係があるのかもしれぬ。
不謹慎というのが、不近親または不近臣ということと、漢文上の意味で、リンクしているのかもしれない。近親でも近臣でもあらざる人の前で軽はずみなことをした、というふうになっているのかもしれぬ。
他にも、前に不がつくことばをあげてみると、不出来、不条理、不憫、不作法、不用意、不惑、不吉、不得手、、、とさまざまである。
不憫というのがこのなかでは、特に変である。
あわれむ、に、あらざる、とは?
あわれまざるをえない、ということか? だったら不得憫?(これで配置がいいのかわからんが)でいいではないか。
それを省略したから不憫になったのだろうか。
まあ、それはいいとして、不憫、不吉、不惑、不敬、という2語でできたことばは、異様に強いちからが備わっているように思う。
3語でできたことばは理路整然としていて異論をさしはさめそうだが、2語でできたことば何も反論できない感じである。
「不憫だ」と言った人にたいして「全然そんなことないよ」と言ったら、「不謹慎」と言われそうなのだ。