wretch

この単語はむつかしい
悲惨な人、かわいそうな人、という意味があるかと思えば、
卑劣漢、ひどい人、人でなし、という意味もある。
悲惨さというものがまずあって、それが人に当てはめられる場合に、その人の悲惨な境遇であったり、その人の性質の悪質さであったりするのかもしれぬ。
人の悪質さと人のあわれっぽさを同一視するかのようなこういう単語の意味のありようは、人間界から見てでてくるものではないだろう。
天上にいる神様の視点から見ているのかもしれぬ。
社会の底辺を描く悲惨小説というものが昔はあったらしいが、wretchの考えでいくと、悪人小説もこれに含まれねばならなくなる。
日本には悪人小説が少ないのである。
すでに刑が確定した凶悪犯を改めて追及したノンフィクション小説は結構数があるのだが。
なぜだろう。