僕が退治しなければならないのはおのれの性欲である

決して他人の性欲ではない
おのれの性欲を退治するには
おのれに対して致命的一撃を加えるしかない
しかしその一撃が性欲に根ざしていないともかぎらないのである
僕は性欲に対して懐疑的である
これは僕のじゃないんだとも思う
どうせほっておけば死ぬなら
わざわざ手をわずらわされることもないとも思う
しかし
手ぐすねを引くことに対しても苛立ちを感じる
しかしこれは
待つという行為に性欲が作用しているかもしれぬ
その苛立ちが
ごくまれに心地よくもあるのである