文学上の懊悩

アールブリュと素朴文学

ぼくが考える文学の純粋さは 市場におけるつくられた洗練と 相反するところがある つまり僕は 売れっ子になる宿命にない それでも僕の作品が見事ならいいのだが あまりにも見事に書くと他の作家に排斥されるであろう 作家として生活するなら 腑抜けた作品を…

僕が退治しなければならないのはおのれの性欲である

決して他人の性欲ではない おのれの性欲を退治するには おのれに対して致命的一撃を加えるしかない しかしその一撃が性欲に根ざしていないともかぎらないのである 僕は性欲に対して懐疑的である これは僕のじゃないんだとも思う どうせほっておけば死ぬなら …

そうはいっても・・・

文学においては 人格と出自はいっさい関係ないということもまた確かであり 僕は何も物怖じすることはないということも明確に意識すべきである しかしそれを実際上、物にするときには 当然人格も出自も問題になる 作家はその際はっきりと売りやすいものにへん…

福岡県というやつがてごわい

火野葦平を出すまでもなく 杉田久女を出すまでもなく 福岡県というのが 健全な精神を逆なでするようなことが得意な地域である ぼくもときどきこんつめてかんがえると 気が滅入るだけでなく いのちが消え入る気がする どうやら福岡県民はこの地域のもつ複雑さ…

僕は贖罪を済ませないと何もできないと思う

いくらなんでも、ここからのんべんだらりとうまくやって出し抜くということは許されない しかしそうなると僕の脳裏には、beyond redemptionという文字が踊るのである それも買いかぶりすぎだ! 僕は救われえないほど重篤な病者ではなかろう

僕は日本が嫌いではないのである

僕は日本を愛したいのであるが 愛する前には 愛すべき対象の悪いところを全部あぶりだして 抽出して 列挙し いちいち検討していって その後にすべて改善させるにはどうしたらいいか考えなくては 愛するというところに至れぬ

自殺における美点

考えれば考えるほど 自殺にも美点が多いことに気づかされるのである

このままではデビューは難しい

僕の思考なり文体なりを マネジメントする人がいないとダメである つまり僕は自分を探すのではなく 他人を探しはじめないといけない

堕したほうが売れる

堕胎したほうがいいのである 堕胎した子に化粧して売り込めばそれなりに売れるはずなのである ところがぼくは本当に美しい子を生み出したい それは商品にはなりえないのである

アナーキズムだけではだめ

アナーキズムから出発して、理想の国家建設まで至らねばならん ところが、国家はすでに建設済みなのであって、新しい国家を承認するための国際法はあるが、新しい国家を建設するための国際法は特にないのである 言ってみれば、すべての土地はいずれかの国の…

純文学

純文学をやろうとすれば世にもおぞましいものを書かなければいけなくなる 商業文学をやろうとすれば純文学を裏切り、大勢の出版人を間男として扱わねばならぬ ぼくは困っているのである 何らかの契機が必要であろう それはおそらく旅によって得られる

作家になることと死ぬことを比べたら死ぬことのほうが楽かもしれん

あまりにも難しいのである 頭がよくないとなれないが、よすぎてもダメだ 飽きっぽくてはダメだが、凝り性すぎてもダメ ひとつは、作家というのは作品を繰り出していくあいだにかたちが決まってくるといえそうだ じゃあまず作品を一個作らないといけない ここ…

学者の道は遠し

おそらく学者たちは ぼくの十倍以上の速さで文章を読み ぼくの百倍以上の理解を達成しているであろう ぼくはあまりにも読むのも理解するのも遅い さしずめ鈍行である

嫉妬がわいてこないのである

本来ぼくが文学者になりたいのであれば 現行文学者に対して嫉妬せねばならぬ ところがそういったものが巻き起こらぬ 対岸の火事を見る気分なのである ぼくは、文学者というものが一種の賤業であり、ほめられたものではなく、しばしば当人のあずかりしらぬと…

こういう考え方である

ラディゲほどの才能を持っていたとしてもデビュー後わずか数年で死神の鎌によって葬り去られる 芥川しかり、パヴェーゼしかり 才能によって立つことの危うさがここからわかる ぼくは、才能以外にもうひとつかふたつ自分の立脚点を持たねばならぬ 才能だけと…

未開

どうやら文学界隈が 思ったよりも未開であり 独裁的であり 閉鎖市場であり 恐怖政治下にあったのである 闊達な議論や あけすけな交流はなく 闇討ちと讒言と 足の引っ張り合いが横行していたのである 真面目に動いているのは 印刷機械だけなのである とはいっ…

余地は無い

在日がポップアウトしてきて ぼくの純文学精神は著しく損傷した そしてかれは 荒野を放浪しているのである

文学は迷宮でなくてはならぬ!

ところが、商品であるためには、迷宮であることとこぎれいで楽しい出口があることが両立しておらねばならぬ ということは、作家は、アミューズメントパークにおけるアトラクション設計者となんら変わりないということである

ひょっとしたらこう思われていないか

ぼくが狂人のふりをして難を逃れているとみんな思ってるんじゃなかろうか そしてやっぱりあいつはダメだと思ってるんではないか そうではないのである あまりにも在日問題というやつが凶悪すぎるので、いかに楽観的なぼくでも多少の韜晦は必要になってくるの…

役小角に興味が出てきた

なにものか かれに近づきたい

ぼくは誰よりも悩んでいる青年を探さないといけないのかもしれぬ

しかし、惜しむらくはかれは精神病棟でおののいているのであろう

ぼくは構想を練っているが

その練り終わりに 成功があるようでいいのかということを 悩んでいるのである 成功したら商品を作るために練っていたことになる それは資本主義社会ではおおむね正しいが 大転換が起こったときにはそうではなくなるかもしれない そう考えたとき 自分がただい…

全部読むことができぬ!

あまりにも多くの作家がめいめいに色々書くので 原理上読み落とすわけである 読み落とさない日はないのである

どうも日本語芸術に対してはあきれが先に来てしまう

感心できない どうせあの日本人が考えることだ、と思ってみてしまい、 実際ほーらこんなもんだ!ってなっちゃう 日本人は脱皮しないとダメだと思う 甘んじるにも程がある

ぼくは一度原点に帰らないといけない

しかし原点がどこかがわからないのである

ぼくは肉体から離れねばならぬ!

僕は生涯純文学一路だと心に決めているが

案外そうではなくて 児童文学とか 幻想小説とか そういった方面で名が売れるのかもしれん 僕は目指す方向とは反対のところに着地することが多いようだからである

いったい何をうかうかしとるのか

僕はいったい ちゃんと文豪になる気があるのだろうか だいたいこの歳でデビューしてなくて いいのだろうか しかし僕の直感は まだ時期尚早だと言っているのであり それは僕の準備が整ったとか作品ができたとかいったような僕がわの事情ではなく どうやら向こ…

デビューしたとするよ?

おそらくわらわらと有象無象がよってたかって しまいには僕はめちゃくちゃにされるだろう それで文豪になれるならいいけど 文豪にもなれないで人生を潰されたらたまったものではない しかも向こうはどうやら悪意はない

僕が作品を上梓したら処女作と思われてしまう

そんな、わけのわからぬ、どこの男根かもわからないようなむさくるしい、ひげもじゃで打算づくの文学市場に、僕の作品が組み伏せられるなどは、悪夢である むしろ、僕の作品は絶対的処女でなくてはならぬ つまりどういうことかというと、僕の第一の作品は第…