嫉妬がわいてこないのである

本来ぼくが文学者になりたいのであれば
現行文学者に対して嫉妬せねばならぬ
ところがそういったものが巻き起こらぬ
対岸の火事を見る気分なのである
ぼくは、文学者というものが一種の賤業であり、ほめられたものではなく、しばしば当人のあずかりしらぬところで命を吸い取るものであることに気づいてしまったのである
しかしそれに気づいたとしても、やはり文学者になりたい気がしないでもない
だがそれは、2年や3年先の話ではないだろう
ぼくは、若者文学をやる契機を喪ったのである
それはそれでいいことでもある