アナーキズムだけではだめ

アナーキズムから出発して、理想の国家建設まで至らねばならん
ところが、国家はすでに建設済みなのであって、新しい国家を承認するための国際法はあるが、新しい国家を建設するための国際法は特にないのである
言ってみれば、すべての土地はいずれかの国のものなのであり、新しい国家を建設するなどということは夢想にすぎない
となると、スケールダウンして新しい宗教ということになるが、宗教も宗教ですでに結成済みである
では何をするかというと、新しさのまわりで浮ついているなんらかの商行為をやるしかなくなる
それはまったくもって妥協的行為である
ここにいたってはアナーキズムは捨てなければならなくなる
妥協的行為を連発している人間がアナーキズムを叫ぶならそれはちょっとした自己矛盾であろう
これを構造上の転向と呼ぼう
つまりは、出発点がなくなって商業的成果だけを目指すことになるのである
こうなると、誰の商売も邪魔してはだめということになり、肯定につぐ肯定を次々に発信していくということにならざるをえない
なぜなら、肯定するたびに金が入るはずという期待は大いに守られているからである
こうして従順で未完成な人間が完成するのである
こうならないためには、つらく険しい狂気の道を見出すしか無い
ところが、狂気にやっと至ったとしても転がり落ちたというありがたい評価をいただくだけである
まったくもってぼくは困難を感ずる