「歴然」

歴然ということばは、ギモンである。
歴然、は明白と同じ意味だろう。
なのになぜ歴然と明白が両立するのか?
歴然というのは、歴史ほどに然りだから明白、という意味なら、いささか古臭く、幼稚なことばではないか?
歴史というのが、一義的で唯一のものではなく、多義的で多様性をもつというのが本来の姿であろう。
なのに、歴然ということばを使うというのは、「歴史」というものが一義であるということにしておいて、そこによりかかってしまいたい、「歴史」の権威を借りたいという欲求のあらわれではないか?
いわば、「歴史」に甘えているのである。
こういうことばは、あえて名付けるなら、ジャパニーズヒストリックタームである。
たったひとつの「歴然」で、文章や議論が台無しになったと思えるのは私だけなのだろうか。私だけなら、私がおかしいということになるのだが・・・