I先生について

Iさんは、大学にいたころはすごく意識していたんですが、卒業してまったく話を聞かなかったので忘れていた。
ところが新聞の本の欄のところで、ドストエフスキーの翻訳を出したというのを見た。
Nという人だけではないんだな一応、ロシア文学の人は。
I先生は、わかりやすい訳というのを心がけたらしい。
わかりやすくしたいという世間の欲求と、各大学のそれぞれがわかりやすい勢力図を描きたいという欲求と、両方があるのに、確かに翻訳はわかりにくく、心なしか文学性は低く思えてしまう。
芸人のオンエアーは世間に届くのに、大学教授の労による著作はほとんど世間に届かない。
なぜか。
国民があほなのだろうか。
それとも大学教授が冒険的ではなさすぎるのか。
ことなかれ主義でいかないと給与の保障があやうくなるかもしれない。
昔の帝大教授は自説により追放の憂き目にあっていたが、昨今の帝大教授で痴漢やセクハラや横領以外で追放になった人を聞いたことがない。