国体の変化

日本は、今まで一応国土のどこに行っても農業や漁業や酪農ができるということでやってきたと思う。
そのような自然の恵みが、福島県原発周辺地域では享受できなくなってしまった。
日本では過去に、汚染を理由にして半径20キロにもわたる広い土地を放棄したことはない。
おそらく、局所的対応として処理して時間による解決を待てばなんとかなると考えている人が多いだろうが、この件については全体への影響のほうがむしろ大きいと思う。
チェルノブイリでも、土地を放棄したということが国全体に大きく影響を与えて結局は国体の瓦解を招く呼び水(放射能汚染水だが)になったと思う。
それはなぜかということを考えると、やはり故郷を強制的に喪失させるということをやると、それが当該地区の住民の生命を守るためであっても、彼ら住民の恨みや失望を買い、それが結局は全体の国民に対して多大な影響力を行使してしまうということではないかと思える。
故郷を失わせて、しかもそのあとその土地に異なる人種民族すら住まないということは、人間の精神に大きな打撃を加えるのだろう。

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原子力発電所は、経済的なリスクというよりも、人間の心に対するリスクというものが大きいのではないか・・・