KleenexとWheaties

どちらも登録商標で、ティッシュシリアル食品のことである。
これらはティッシュ一般、シリアル食品一般をさして普通に使われているようである。
これらは特定企業の製品であるにもかかわらず、一般用語として定着している。
日本ではたとえば、ティッシュはエリエール、シリアル食品ケロッグというのがそこそこ有名だが、これらは一般用語として定着することはなさそうである。
日本では、一般的な生活用品は登録商標名では定着しなさそうだ。
家の概念がかなり関係している気はする。
フジパンに勤めるとき、日本では「フジパンを作っているんだ」とは絶対にいわなさそうである。ところが欧米では言いそうである。

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こういうことなのかもしれない。
欧米人は自分がやっていることを客観化していう。それは神の前での客観化である。
いっぽう日本の場合には神など自分の周りにいるはずがないという卑屈な観念がある。
ところがその卑屈さは徹底されているわけではなく、神はなくとも世間はあるだろうと思い込んでいる。
その結果として、世間の前で客観化するときに「家のものが・・・」とややへりくだって言う。
このときに、「織田家の者が・・・」と家の名前を出すことはないに等しいのである。

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そういう視点とは別に、歴史的な展開として、名字を名乗ることがずっとなかったという問題もあるのかもしれない。
朝鮮における創始改名というのが大事件のように扱われることは多いが、その70年ほど前にはほとんどの日本人は姓を持たなかったのである。
ほとんどの日本人が、姓のかわりに土地の通称を使って生活をしていたようである。
定住している人はそうだが、移動しながら暮らしていた人たちの中には、名前すらもはっきりしていなかった人も相当数いたかもしれない。