バランス主義の怪

若めの思想家などがバランスを叫んでいて、
彼らを調べるとこれといったソリッドな努力はあまりしておらず、
いいところどりをしているという者も多い。
思想がふぬけているのである。
最大限の思想上の煩悶と相克と闘争から、結果的にバランスがたちあらわれているのであればいいが、安全な場所を飛び石にして思想をわたった上で、スマアクしながら言うバランスは、簡潔に言ってしまうと怠惰であり堕落であろう。
資本主義追認は、頭ごなしの資本主義否定と同じかそれ以上にステレオタイプな立脚点であり、きわめてラクな思想上の生き方であると気づいていなさそうであるのが気がかりである。