漱石は漱石のわかる程度にしかわからない

おのれを限界にしているわけである
おそらく漱石
他者を一人も理解しないでこの世を去った
理解はしないが人物の解剖ごっこは熱心にやったのである
漱石が主題に選んだ高等遊民
消去法によって出てきたに過ぎない
腑分けもどきの最後に余ったから取り上げてみたまでであろう
僕は漱石に懐疑を抱かざるをえない
同時に
最高級の頭脳とされた漱石が文学に専念できる環境にあったにも関わらず
業績がこれっぽっちという感も否めない
しかし漱石以外はほとんどなにもないに等しいのであるから
文学の厳しさということも感じざるをえない