芥川自殺は漱石が予定していたとも言える

漱石の弟子は、漱石を乗り越えようともがく人ではなくて
なんとか追いつこうとする姿勢を貫く人である
漱石をキャッチアップしようとして
案の定追いつけなくて空笑いするような人が漱石に好まれる
芥川の場合
異常なほど熱心に向上し文学に没頭しようとするが
周りはほとんど見えていないし精神の働きにおける偶然の機会に賭けるところが多い
芥川は方法的に漱石を乗り越えようという考えはないのであり
その文体はいつも従属的であり
刹那的ですらある
ゆえに長編となると中途でめまいが生じてうまくいかない
芥川は菊池寛が仕掛けた文学キャンペーンに関わる間に追い詰められていったとも考えられる
普通並の感性であればちやほやされてうまいものを食べていればうれしいはずだが
鋭敏で奇特な神経には命取りになるのであろう
漱石の激賞は呪いに等しいことは
おそらく芥川は死ぬまで気がつかなかったのであろう
気がつくような人には漱石は激賞しないであろうから