僕の漱石への不満点がはっきりした

僕はいつも漱石を読んで、しばしばあれっと思うのである
それが今日原因がはっきりした
漱石の作品は、論理や筋において展開がすむーすにいきすぎているのである
そこがどうも気に入らない
人間が人間ではない
どこかあつらえたようなところがある
巧妙に隠されているが、どうしても人為のところがある
ところが小説は人為だから別にいいのである
漱石作品には漱石作品にふさわしい人間しか出てこないのである
小説というより読本という意味が強いのである
崩した作品がひとつでもまたいいんだが、全部整っているというのもどうかなという気がする
秀才の限界を感じる
しかし漱石は文学の天才と言われる
僕はそこまではいってないと思う
諸外国の本当の文学的天才からすると明らかに見劣りがする
それは東洋だからとか、後進国だったからとか、時代的制約があったとか、そのようないいわけでは補いきれないと思う
欠陥ではない
足りないのである
しかし漱石を越えることが至難のわざであることもまた確かである・・・