辛苦

ぼくは辛苦を味わっているようである
そこそこに苦しいひととおりの苦しみと
そこそこに苦いひととおりのかなしさが
ぼくを交互に接待している
ぼくはそれらについて
ひととおりの配慮と応答をし
なかなかしっかりしたやりかたを身につけつつある
それは生活というものであろう
どうやら定まってきた
思いのほか孤独な作家生活というのが
すぐそこまで来ていなくもない
ないのは作品だけである
これが問題で、だめなものはだせないが、あるていど稚拙にやったほうが受けはいいかもしれないのである
しかし稚拙さを自覚してやる稚拙は悪辣である
ぼくはあらゆる理知にも通じている
ぼくにはどうやら責任がでてきた