愛について

愛の対象が
もう
この世にはいないのだと
気づいたとき
もう
ぼくの愛は生きられないのか
愛すべきものが
失われた
しかし
それ以前に
すでに失われつつあったのだ!
失われることの完全性が
何によって保証される?
わたしは愛を
失うほうへ考えてきた
それは決して
得るものではなかったのである
愛とは


吸い込み

うず潮
溶岩の池
底なし沼

なのであり

田畑(でんぱた)
牧草地
釣り堀
レストラン

ではなかったのだ

それは流通してない貨幣のすべてをありったけ払い
苦しみ
嘲られ
淫乱にされ
嫉妬させられ
串刺しにされて なお
今でさえ!

無傷のままでいることだったのである