瞼を焼く幻視

ランボー
途中から引っ込んだ
寺山は
あの時代にしては成功した
中原は
焼き切れるまで幻視した
啄木は
女の肌を通して幻視した
いずれも
やはり幻視している
だがわたしは
目がチカチカするだけで
ちょっと目の前がふわんふわんしてるだけで
幻視に至っておらぬ
幻視に至らしめるために
何らかの影響
幻視にまつわるデータ蓄積を
せねばならぬ
たとえば
芭蕉の百日行歩
たとえば
東下り
たとえば
海外見聞
たとえば
放浪
だがぼくは
垢がたまるのが
どうも苦手なのだ
やはりまだ
清潔好きな坊やが
抜けきっていないのである