『最後の死刑囚』(豊島与志雄翻訳)

ヴィクトル・ユーゴーは抜群の文才がある
しかも俗をうまく表現できる
おそらく天才ではないだろうか
俗だからといって品位が落ちているわけではない
日本に昨今よくある、もってまわって言い回すが結局ただの性欲小説、というのとはわけが違う
「家が崩れるような音」
「舌が顎にくっついて」
「若い娘・・・(いろいろ空想することの例を出して)・・・なほ若い娘」
思いつきそうでなかなか思いつかない表現。
ユーゴーは死刑に対する議論を巻き起こした。
フランスには今、死刑はない。
日本では、死刑反対論者は多いが、ユーゴーのこの作品のような真面目な死刑小説は少ない。
ジョークのような死刑小説はあるにはあるが。