或中年Y一日奮闘記 (2)

「ううむ、あのオヤジめ」
ユリは舌打ちをした。オヤジの臭いからだをしゃぶって、ひっぱたいて、蹴りあげて、それでたった5万であった。これは、ユリ的にはミステイクであった。
さっそくアイフォンをぐりぐりする。オヤジのケツアナに対する2倍のヤサシサでもって、ぐりぐりする。
「それであのオヤジさー、ムシれねえんだよ。だめだありゃあ、なんかおっかしいんだよねー。ちげすぎんだよ前と。せっかくサービスしてやったのにさ!」
ミサトはシブヤのコミンカ前で、それを聞いていた。
「あんたね、そりゃもうだめだよ。うん。最近はクズになるオヤジが多いからさ、それもさ、昨日まで安定だったオヤジがすぐクズになるからさ、乗り換えなきゃ」とミサト。
「でもユリ、あのオヤジから200万引っこ抜いたんだから、そりゃ義理があるってもんでしょ! そうカンタンに捨てられないって。たまさかゴネてみただけなんじゃん? それでユリをビビらして、あとでオワビの高級フレンチなんじゃん?」とユリ。
「あんたね。イマドキそんなおめでたい話はないよ。もうね、どんどんオヤジが生きながら干からびるヨノナカなんだよ」とミサト。
「そうなのかなー。こりゃカンガエないといかんデスね。昨日の友は今日のミイラってほんとだね!」とユリ。
「気にすんなよー。こういうことわざもあるって! 昨日の友は今日も友ッ!にへへ」とミサト。
そこからランチ。二千円のパスタである、という夢をYは見た。