漱石文学の野望が少しわかった

文学の固定化、漱石文学を唯一の正統文学にしようという企みである。
その際に周囲の作家を論破するという方法をとらずに、無視するという方法をとったのであろう。
ひとつ気になるのは、国家文学にしようとはしなかったということである。
なぜなら国家は破綻する可能性がある。
国家が破綻すれば漱石文学も巻き添えになってご破算になる可能性が出てくる。
だから漱石文学は周到に国家との癒着を避けたが、その避け方がうますぎるゆえに、国家がどこまでは踏み込めないかという点を明らかにした。そうなると、次はそこを誰が埋めるかという話になってくる。埋める誰かが善人であるわけがないのである。