地方文学とは何か?

世界における地方文学というと、僕はアメリカ南部文学くらいしか思い浮かばないのである
イギリス田園文学?というようなものは、地方文学というより田園文学なのである
広い意味で自然主義文学というのも、地方というくくりを通り越して自然という串を通しているように思える
地方を前面に押し出すと地方自治のようなことをやりたいのかと思われるだろう
政治が先にあって文学が追随するという形は必ずしもよくない
それでは政治主導というより、政治なければ文学なし、ということになる
中央政界があってはじめて地方政界があるというのが政治の世界
文学ではではどうやって地方文学を実現するかというと、宮沢賢治がやったように寓話界に逃げ込むしかあるまい
地方が契機になって寓話文学が結実する、というのが穏当な流れである
ただし寓話文学には、現実暴露的側面をほぼ盛り込めないという大きな欠点がある
たとえるなら、寓話文学は木ともいえないようなやわらかな木を、刃物ともいえないようなブラントな彫刻刃で彫り上げて作ったオブジェのようなものである