ぽえむ

商品と基準

商品だからある程度までの基準を見てしていないと駄目であり では基準を満たしていればあとはどうでもいいのかというと あとはどうでもよくないと駄目なのである 商品としての性質を自覚しない商品こそ禁忌なのであり それは商品に対しての冒涜行為なのであ…

キャット

キャットウォークを歩んでいたつもりが ぼくはいつのまにか もうるになっていたのである

詩神への疑念

ぼくは詩神をなだれ込ませて 詩の雨あられを降らすこともできようが それをやることでいのちは削られるのであり いまいち詩神をいぶかしんでもいるのである そこでいまは 小出しにするでもなく もったいぶるでもなく ただかき混ぜているのである スタアアッ…

ゆったり

ゆったりした中年の体躯を 用いるでもなし 棄てるでもなし

カジョール

ぼくは亡霊の声にカジョールされそうになったが いまいち聞き取りにくかったので 意味を判ぜず かろうじてたすかったようである ところがたすかったとはいえ みじめな暮らしが立ちはだかっているのもまた確かであるので 次のカジョールに耳をすませたいので…

麻痺と鈍感化

性交や 仕事や 呼吸や なんにしても 麻痺しつつやり 鈍感に行わねばならない 一連の行動を包んでいるのは 成熟という幻想である 成熟であるとしても 反動的成熟なのであって 保守にすら一般民は至ることがない

わが純粋

ぼくはわが純粋さに挑戦し 生涯をかけて汚しきろうと思っていたのだが それを跳ねのけるところがある われしらず とんでもない純粋さを秘めているところがあるのであって この自らの純粋さとの格闘によって ぼくは外部に出る契機を失っているとも言える

沈思

沈思の究極は 死してなお考えることではないか 死んでから考えられないような人間は ちゃんとしていないのではないか ならば試しに死んだほうがよいのか ぼくなどはこういうのんびりした論理展開で 死を試してみたくなるのだが 多くの自死作家はそうではなく…

わかき恋心

ぼくの肉体にかつて宿っていた恋! それがもはや見いだせぬ 恋はうらみと悔恨にわかたれ ひたすら肉体の作用をにくむまでになったのである つまりぼくは人間をにくんでいる なんたる悲劇だろうか ぼくは救われたいのに!

文学創作のむつかしさ

まず文体 それから展開方法や要素のブレンド まこと文学は人を選ぶ ほとんどの人には不可能である ある程度の悪質さを取り入れないと 為らんのかもしれん ぼくはいままで善の文学を目指しすぎたのである

おかしな話

毎度毎度笑顔の面々を見ていたら 本当は作家は幸福な職業のように思えてくる 実はそうではないはずなのである 自らつくりだした地獄において 死の舞踏を踊りきるはめになる それが作家であるはずである ところが昨今の作家というと 文体はつぎはぎか猿真似 …

読む行為

日常的だらだら読み つまり生活の線上にある読み それをただ繰り返すだけでは止揚はないわけである ところが日本では止揚はよしとされない よしとされるのはせいぜい改革である ぼくには文学の世界は合ってなくて実業のほうがいいかもしれない しかし実業と…

日本一書くのが

日本一書くのがうまい人たちが作家であるなら 日本一読むのがへたな人たちは 何者だろうか

うーむ

どうもいまいち よくわからないのである 文学とは文壇とは 形式とは文体とは プロタゴニストとはどうやって登場するのか 彼を作中から去らせるのか住まわせるのか 小休止を要する

デビュタント

でられない びゅんといかない たんと儲けられない

読む行為

読む行為が 排泄や性交と 同じ地平にあると思っている人が多いのである ぼくもそう思っているものの 読むことを聖なる行為と考えたくもある そのときに読むのはこの世の字ではなかろう

平々凡々

どうも 平々凡々というところが もっとも損しないことになっているのである ところがぼくが依然として目指すのは 非凡爆発である

つらいきもち

いまつらいのは 体が重いことである 手足や細胞が のろまになったのである なにしろ代謝は成長のためではなく なぜならぼくは成体で あとは社会的意義を見出すべく強いられているのである ところが社会は大口を開けて 各種の人間を呑み込もうとしている それ…

日本に疲れた

日本はもういやというか こりごりな感じがある ところが日本円はそれほどいやになっていないのであり 日本以外の国はまだまだ新鮮味があるのである 日本はいつもステイルな感じがあるのであって 日本以外はいつでも新鮮である 日本のステイルはどこか真夏に…

否定という蜜

僕は否定という巨大な蜂の巣から滴る わずかな蜜によって生きていると言いうる それは甘いか酸っぱいかもわからないような 観念上の蜜であって 肉体的なものではなく 抽象世界の蜜である しかしこうなると次は 僕が具現していることが矛盾になるのである

とにかく苦しい

とにかく苦しいんだ とんでもないんだ 何もかもすり抜けたのに 何もかも見える

僕の沙爾鄭

どうやら僕の沙爾鄭というのが 狂人を百人選って集めたようなありようなのである 僕の中であれこれの狂気がくすぶって それはもっか平凡を擬したり痴呆を擬したりしつつ おならのような音をくぐもらせているのである そこでは内部では忙しいのだが外部ではひ…

富裕民

富裕民居住区まで観察に行くと かれらがあまりにも悠然と生きていることがわかる 大多数の貧民がきょうあすのお金を手にするのに苦悶しているにもかかわらずである 格差というかこれは 何かのかくしであろう

日本ぎらい

ぼくの日本ぎらいは やや深刻である もはや日本が関わっているものなら どんなにすばらしく見えるものでも底意があるように思えるのである 素直に日本を愛しかけていたぼくは それなりにいいばか面であったはずである 今のぼくは うちひしがれた浮浪人の顔を…

第三の

どうやら日本は 不可能性に満ちているのである かれは「性交ならできるよ」とぼくにささやき 煽情的であったりそうでなかったりする ごまんの女をぼくに差し向ける そして「ほらほらほらほらほら」とせっつくのである ぼくはというと かれに第三の性器を見る

健常の横暴

健常は 健常でないものに同情したふりをして 自らがましであることを自負し 健常であることを当然視する ここがまさに問題であるのだが 健常は身体から抜け出して われわれの意識に巣食うのである これをなんと名付けようか 共同幻想ならぬ共同伝想とでも名…

ぼくの才能は異質である

まったくもってわかりすぎる時と さっぱりなんにもわからない時が交互に来るのである そしてどちらかいうと さっぱりなんにもわからない時のほうが圧倒的に割合は大きい 傍目から見れば ぼくはほとんどアレステッドデベロプメントなのである

つかれ

ぼくはとにかくつかれが ひたすらたまっており いかなる行為も さびついた反復にすぎず いかなる光景も ぼくを誘うことはないのであり すべては過去にこしらえた型の 運用に見え ぼくは 何か新しいものを探す気力もなく ぼくの身体とともに 周囲が滅びていく…

なんだかまた調子が悪い

苦しみが深まった おそらくこれが日本的アゴニイである ぼくは炉に投げ込まれて 繭が次々に溶けている そしてぼくがむき出しになり のたうちまわって死ぬことを かれらは見物していたいのだろう まったくふてぶてしい野次馬である! だが問題はもっと深く ぼ…

全部罠

ぼくが今まで期待をかけたものが 実はすべて罠だったのである ぼくはそれに気づいて もう期待をやめた ぼくは期待する主体ではないようである